私にとってもっとも馴染みのある山は、やはり23回と、一番多く登ったことがある雲取山です。今回の記事は回想記です。
*山頂避難小屋からの秀麗富士
山梨と埼玉、2つの県境にある標高2,017Mの東京都の最高峰、そして百名山の一座です。
天皇陛下が皇太子時代プリンス雅子様と登山されているのをニュースで見ました。その時に雲取山という名前を初めて知りました、1995年です。くもとりやま・・・むかしの物語に出てくるような面白い名前の山だなと思いました。因みに、天皇陛下は3度雲取山に登られています。
心の奥に秘めていた日本百名山制覇の夢、それを目指すなら、これくらいのレベルは日帰り登山でクリアしなければ達成は難しい。普段からトレーニングして強靭な体力、脚力をもっているならともかく、長年不摂生な生活を過ごしてきたサラリーマン上がりで、軟弱なシニアハイカーでした。どうしたら雲取山を日帰り出来るかと詮索しプランを立てました。
2010年4月、天気予報を確認して小袖登山口からチャレンジ、無事日帰り登山が出来ました。それ以来、山歩きのベンチマークが雲取山になりました。雲取山日帰り登山が出来るなら、日本百名山のうち65座~70座はかならず登れると思います。という事で毎年雲取山に通いました。12年間で23回登ったことになります。その間途中で撤退したこともあります。
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10年ほど前の私のブログでの記事ランキングは:
御覧の通り、雲取山1回目の山行記事がトップでした。当時、Googleで「雲取山 日帰り」と検索すると私の記事が最初のページに出てきました。知名度は高くないですが、人気の山で深緑の初夏、紅葉の秋の週末は小袖駐車場はオーバーフロー、ブナ坂では登山者が列をなして登っている光景もみかけます。鴨沢・小袖からのコースが最も人気があり、日帰り出来るのもこのコースだけです。
宿泊できる山小屋は山頂から三峰側への急坂を20分程下ったところに雲取山荘があります。一度だけ雲取山荘で雲取山のバッジとミネラルウォーターを買いに立寄りました。あとは七ツ石小屋、小屋前からの富士山の眺めが癒してくれます。山頂の避難小屋は水場もなく、避難小屋なのでお奨めはしません。石尾根に以前テント場が併設された奥多摩小屋がありましたが、今は撤収されています。
積雪時以外は年間を通して登山できる小袖コースですが、晩秋~初春までが比較的閑静なので、私もその時期の登山が多かったです。積雪時も冬のウエア、アイゼンがあれば登れる山ですが、未経験の方には厳しいと思います。
雲取山を日帰りするなら、やはり小袖登山口を朝早出すること、遅くとも7時以前に出発してください。5時を過ぎると登山者が出発はじめます。
シーズンの週末や休日は、小袖駐車場(丹波山村営)は明け方までに満車になることが多いです。私も週末がかかる場合は前夜に駐車場に入って車中泊したことが幾度かあります。これが登山前の難関でもあります。駐車場には水洗トイレが設置されています。
雲取山の小袖ルートは堂所まで、樹林帯に囲まれた長い緩斜面の単調な上りが続きます。樹林帯で閉そく感があり、特に下りは疲弊した身には長いです。小袖から堂所まで車で通行できる林道があれば・・と邪悪な妄想も浮かびます。(笑) 堂所が登山口なら最高なんですが・・
堂所から急坂になり七ツ石下までキツい登りが続く最初の難所ですが、ここからが山登りで雲取山の魅力の核心です。
七ツ石下から尾根の西側の巻道は七ツ石小屋を経由する上段の道と下段の道があります。往路はほとんど下段の道を登りました。痩せて切れた箇所もありますが、大菩薩連嶺、富士山、奥秩父主脈の山々が視界に入り奥深さを感じさせます。私見ですが、下段の道の方が展望もよく若干緩やかなように感じます。往路は七ツ石山山頂を登って消耗しないことがポイント、往きは巻道で!
ブナ坂から石尾根を登っていきますが、尾根の西側に展望が広がり南アルプスの峰々が見れます。ヘリポート~奥多摩小屋跡のあとは小雲取山への急坂、ここが一番の難所かもしれません。小雲取山を過ぎれば山頂はもうすぐ(上の写真)、避難小屋直下の坂を登れば雲取山です。
山頂避難小屋前からの石尾根の眺め(上の写真)が素晴らしく、気に入っています。山頂は避難小屋の裏手にありますが、飛竜、和名倉山、甲武信ヶ岳などの奥秩父の山も見れます。南アルプス、大菩薩連嶺、富士山、奥多摩、丹沢まで大パノラマ。山頂ではいつも1時間程長居を楽しみました。
復路はブナ坂までの下りはいつも快適に感じます。ブナ坂から七ツ石下までの痩せた巻道は注意して下ってください。下りは上段の七ツ石小屋経由の道がほんの少し早いかも?しれません。
堂所まで戻るとあとは単調な下りが延々と続きますが、疲労が蓄積してきます。ところどころ谷側に切れた箇所もあり侮るなかれ、急いで下ってバランスを崩したり躓いたりしたら滑落することもあり。日照時間の短い秋~春は、15時過ぎると暗くなります。15時半くらいまでには小袖登山口に戻る様お奨めします。
雲取山でも遭難・事故のほとんどは下山時です。
小袖コースは岩場、ハシゴや鎖場もなくテクニカルな箇所、迷うようなところはありませんが、要求されるのは体力、注意力そして忍耐力かもしれません。あとはお天気、必ず晴れの日(少なくとも雨天でない日)に登りましょう。
決して楽な山ではありませんが、巻道からブナ坂、石尾根からの素晴らしい眺望と歩きが楽しめる、登り甲斐のある山です。
前述したように、ここを日帰りで登れれば、百名山の65から70座は必ず登れるはず。百名山でもコース上に山小屋のない山で日帰り以外選択肢がない山は、利尻山、トムラウシ、平ヶ岳、皇海山(庚申山荘から)くらいです。いづれも、雲取山よりもずっと厳しい山です。
雲取山は不動で同じですが、毎回季節、天候やコンディションにより風景・様相が変わり、歩きも変わってきます。いま振り返ると、その時々の記憶が蘇ってきます。
雲取山へ日帰り登山される方への参考:22回目の山行記録です。
GPSログに基づきヤマレコのサイトで表示されたデータです。この時のタイムは標準(上り:4:45、3:15:15)に近いと思いますが、比較的快調な歩きが出来た時です。最新のコースタイムは各自で山地図等から把握されるようお願いいたします。
お時間があり、興味のある方は各山行記事を覗いてみて下さい。